2009/11/13

須賀敦子『トリエステの坂道』

作品の中で印象に残ったのが「キッチンが変った日」。

四十過ぎで、著者の義弟のアルドが、二十歳近く下のシルヴァーナと結婚した。

それから自分の家が一番だと言っていた姑が

著者のもとに遊びにくるようになる。

嫁との同居生活が始まって、居心地の悪いこともあるだろうと著者は推測するのだが、

その一つに、キッチンの変化もあって…という内容。

直接姑と嫁がぶつかるといったことはない。

が、今までの姑の暮らしに変化がもたらされていく様をみると

読んでいるこちらも、どことなく姑の気持ちが伝わってくる。



また別の話では、このアルドに焦点が当たっていたり、

その息子が中心の話もある。

一度出た人物も、また別の角度から見られて

読むごとに深みを感じていた。


Amazon→『トリエステの坂道 (新潮文庫)

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