2009/10/03

司馬遼太郎『坂の上の雲(三)』

三巻では、開戦前後の話だけあって、陸海軍や政府のお偉方がいっぱいでている。

その中には、日本史の教科書でみたことのある人物もいっぱいいる。

旧友であっても人事で譲ることはしない山本権兵衛。

大丈夫なのかと言われつつも、無口だけど、この人なら大丈夫そうという風格が作中でにじみ出ている東郷平八郎。

日英同盟をあてにできない、自分が何とかする!と日露協約に動く伊藤博文、

それを苦く思う桂太郎(当時の総理大臣)など。(もしかしたら、三巻以外ででたかもしれないが。)

日本史を学んでいるときにこの作品に出会っていたら、もう少し近代史に興味を持っただろうか、なんて考えもよぎるくらい。

そのくらい、それぞれの人物がおもしろい。



ちなみにぼくは、広瀬武夫という人物が好きだ。

広瀬の船が浸水し、そこから脱出するときにひとり見当たらない杉野を、

部下に止められるまで三回も探しに行く。

また、ボートで脱出したときには、おそらく敵軍からの砲撃を恐れながら

漕いでいる隊員を励まし、「おれの顔をみておれ。見ながら漕ぐんだ」と声をかける。

その姿から、ぐっとくるものがあった。


Amazon→『坂の上の雲〈3〉 (文春文庫)

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